【保存版】医療スライド作成のすべて:最短で“伝わる”資料を作るための完全ロードマップ
いきなりパワポを開くのは、今日で終わりにしませんか。
学会発表、症例報告、院内勉強会──
医療者にとって「スライド作成」は避けて通れない仕事です。
でも、こんな悩みはありませんか?
- 作業に異様に時間がかかる
- 頑張ったのに “伝わらない”
- 何から手をつければいいかわからない
- とりあえずPowerPointを開いてしまう
実はこれらには共通点があります。
それは…
“正しい順番で作っていないこと”。
僕は研修医の頃、
「センスがないから苦手なんだ」と思っていました。
でも違いました。
伝わるスライドは、
センス × 才能ではなく、手順 × ルールで決まる
という事実に気づいてから、作業時間も完成度も劇的に変わりました。
🧭 全体ロードマップ(この1本で迷わない)
スライド作成は、次の 5段階 で必ず進めると最短で完成します。
1️⃣ Phase 0:素材の棚卸し(最初の10分が勝負)
2️⃣ Phase 1:構成(ロジック)
3️⃣ Phase 2:設計(デザイン)
4️⃣ Phase 3:視覚化(グラフ・画像・表)
5️⃣ Phase 4:仕上げ(アニメーション・発表準備)
もう順番に迷う必要はありません。
今からひとつずつ見ていきましょう。
Phase 0:素材の棚卸し(PCを開く前の最重要工程)
スライドが終わらない最大の理由は…
作り始めてから素材を探すから。
カルテに戻って検査値を確認、データが足りず文献を探しに戻る…。
これが時間を溶かす原因です。
🔧 最初にすべて集める
- 主訴・現病歴・既往歴・治療歴
- 検査値(可能なら経時推移)
- CT / MRI / XP / US
- 病理画像
- 表・グラフ化できるデータ
- 引用文献・ガイドライン
📁 フォルダ構成(推奨)
症例報告_2025
├ 画像
├ データ
├ 表
└ 文献
🔥 10分で勝負が決まる
素材が揃ってからPhase 1に入るのが最速ルートです。
Phase 1:構成(ロジック)──PCを開くのはまだ早い
スライド作成の8割はこのフェーズで決まります。
ここが弱いと、どれだけデザインが綺麗でも伝わりません。
🎯 1-1. ターゲット設定
「誰に向けた発表か?」で必要な深さは変わります。
| 聴衆 | 求める情報 |
|---|---|
| 研修医 | 基本知識・プロセス |
| 専門医 | データの質・治療理由 |
| コメディカル | 実務での連携点 |
| 患者家族 | 比喩・図解・専門用語の削減 |
🎯 1-2. ゴール設定
目的が曖昧だとスライドは増え続けます。
- 知識共有?
- ディスカッション?
- 希少症例の学び共有?
- 行動変容につなげたい?
僕は研修医の頃、20枚作った後に指導医から
「で、結局何を伝えたいの?」
と言われたことがあります。
ゴールがないスライドは迷子になります。
📝 1-3. ストーリーボードを書く
紙にスライドの流れをざっくり描きます。
例:症例報告の流れ
主訴 → 現病歴 → 画像 → 経過 → 考察 → Take-home message
🧩 1-4. 型(テンプレ)を使う
プロほどテンプレを使います。
- 研究発表 → IMRAD
- 症例報告 → 主訴→現病歴→検査→治療→経過→考察
そして最強ルール:
📌 1スライド1メッセージ
地方会ベストプレゼンを取ったときも、
特別な演出ではなく、この原則の徹底だけでした。
Phase 2:設計(デザイン)──見やすさは3要素で決まる
デザインが苦手でも心配は不要です。
守るべきはこの 3つだけ です。
① レイアウト(整列 × 余白 × 視線誘導)
- ガイド線を使って端を揃える
- 余白を恐れない(情報を区切る役割)
- 視線は 左上 → 右上 → 左下 → 右下 の順に流れる
📌 図解イメージ
左:画像
右:本文
下:結論(短く1文)
② タイポグラフィ(文字)
現場で最強のフォントはこれだけです。
- Windows → メイリオ / 游ゴシック
- Mac → ヒラギノ
サイズの目安:
- タイトル:36pt以上
- 見出し:28pt以上
- 本文:24pt以上
📌 「読ませず、見せる」が鉄則
文章ではなく箇条書きに。
③ 配色(色は3色まで)
- ベース(白・黒・グレー)
- メイン(青・ネイビー)
- アクセント(赤)
赤の使い過ぎは危険。
“意味のある強調”に限定すると締まります。
✔ デザインチェックリスト(保存推奨)
- 端が揃っている
- 色は3色以内
- フォントは1〜2種類
- 本文24pt以上
- 1スライド1メッセージ
この5つが守れていれば、ほぼ勝ちです。
Phase 3:視覚化(グラフ・画像・表)
医療スライドの本領発揮パートです。
視覚情報は整えるだけで“頭に入るスライド”になります。
📊 グラフ
やってはいけない例:
- 3D
- 濃い枠線
- 目盛り線だらけ
- グラデーション
正解:
- フラット
- 単色
- ノイズ最小限
🖼 医療画像(CT/MRI/病理)
- 余白をトリミング
- 矢印は赤1色
- ID・氏名は確実にマスク
📋 表(Table)
❌ 縦線だらけ
⭕ 横線だけ
行間を広め、セルの塗りつぶしを減らすだけで見違えます。
Phase 4:仕上げ(アニメーション × 発表)
最も軽視されやすいですが、完成度を左右します。
🎬 アニメーション
使うのはこの2つだけ
- フェード
- アピール
ズーム・回転・スライドインは学会では逆効果です。
昔、派手な動きをつけすぎて指導医から
「遊んでいるように見える」
と言われたのが転機でした。
🗣 リハーサル
- プロジェクターで色味が変わる
(青は沈み、黄色は飛ぶ) - 口に出すと構成のムラが見える
- “つっかかる部分”は不要または改善ポイント
僕のルール
投影して3回通す → つっかかった部分を修正
🔥 まとめ ─ 型を守れば、誰でも「伝わる」
スライドはセンスではありません。
正しい順番で作るだけで、誰でも伝わるスライドになる ことをお伝えしたいです。
医療者は日々多忙ですが、だからこそ
「作業時間を減らして、本質的な内容に集中できる」
スライドが必要だと思っています。
迷ったら、またこの記事に戻ってきてください。
▶ 次にやるべきアクション(目的別)
| 目的 | 読むべき記事 |
|---|---|
| 最短で上達したい | ▶ スライド初心者ロードマップ |
| デザインを徹底的に伸ばしたい | ▶ フォント・余白・配色の徹底ガイド |
| 実例で学びたい | ▶ ベストプレゼン賞スライドの裏側 |

