症例報告をすることになった。
初めてで何から始めればいいのかわからない。
先日開催された院内の内科教室例会で銀賞をいただくことができました。
研修医になると、院内の症例報告会や学会で発表する機会があると思います。
この時期になると「何度もやっているよ」という方もいれば、「まだやったことない」という方もいるかと思います。
今回は、「まだやったことない」という方に向けて、僕がこれまで何度か症例報告をさせていただいた中で学んだこと、スライド作成にあたって意識したことを記事にしてみようと思います。
もちろん「やったことあるよ」という方にも読んでいただきたいです笑
珍しい症例や新しい疾患の診断・治療に関する治療を報告することです。
症例報告をすることで、新たな病気の予防や診断、治療に役立てることができます。
報告する内容は多数に渡ります。
報告する症例の選び方は次で紹介します。
- 普段では経験できないような稀少な症例
- 新たな検査法・治療法を導入し、良い結果が得られた症例
- 治療法が進行しつつあり、治療法自体を複数の医療者で検討したい症例
- 日常的に遭遇する症例の積み重ねによる良い結果や特徴的な傾向の経験が得られた症例
目的を明確にすることは、結論に関わる部分なので、まず最初に考えましょう。
発表時間、提出期限、PowerPointの種類と形式、フォント指定、動画を使用可能かどうかなど、事前に把握しておきましょう。
先程例にもあげたような5分の発表であれば、10〜15枚程度が限界です。
「枚数を多くして早口で話す」はおすすめしません。
- タイトル+COI(利益相反)
- 緒言:背景と目的を明確に述べる
- 症例:主訴、現病歴、既往歴、常用薬、家族歴、生活歴など
- 身体所見:バイタル、各診察所見
- 検査所見:血液検査、尿検査 etc
- 画像所見:X線、CT、MRI etc
- 生理検査(スライドに合わせて適宜追加)
- Problem・Assessment
- 治療経過(経過表)
- 考察:問題解決にどこまで迫ったかを限界を踏まえ考察し、結論を述べる
- 結語:簡単な概要とキーメッセージ
- 参考文献
- 「にて」や「認めた」は使わない
- 短い文章で簡潔にまとめる
- 正しい文法を意識する
- 表の枠線は無くす
- 数値の位置を揃える
- 読みやすいフォントとサイズ
- 色を減らす(3色以内)
- 統一感を意識する
- 日本語:メイリオ
- 英数字:Segoe UI
- 【】:MSPゴシック
他にも「游ゴシック」がおすすめです。(医局会での発表ではこちらを採用)
- スライドタイトル:44pt
- 文章:24pt or 28pt
- その他:14~18pt
※その他=参考文献や注意書き、表やグラフの文字
僕が採用した色の組み合わせは以下の通りです。(PowerPointより)
- メイン:青
- 強調:オレンジ
- 文字:黒3番目(少し淡い方が目に優しいのでおすすめ)
配色が決まると自然と統一感が生まれやすくなります。
それに加えて、以下の3つを意識してみるとさらに統一感が出ると思います。
- 配色の割合
- 見えない線
- フォーマットを作っておく
- 文字が多くなる場合は、図表で示してみる
- 必要最低限の情報だけスライドに載せる(質疑応答用に情報を取っておく)
- 文章は10行以上は書かない
- 匿名化されているか
- 誤字脱字はないか
- 単位間違いはないか
- 単位の前には半角スペース
- 正常値と異常値、強調ポイントを強調できているか
- 略語は初回のみfull term
- 句読点は統一されているか
- 用語は統一されているか
- 参考文献の書き方は統一されているか
- 英数字の半角と全角は統一されているか
- 菌名はイタリック(斜体)
実際に僕が症例報告のスライドを作成するにあたって集めた情報と実践したことをまとめてみました。
本記事の内容を踏まえて、記事を読んでくださったあなたに「これだけは知っておいてほしいこと」を3つご紹介します。
- 構成を丁寧に練ることができれば、スライド作成もスムーズにできる
- 見やすいスライドデザインにするにはフォント・色・統一感を意識する
- スライドに載せる情報は、欲張らずに必要最低限に抑えて、スッキリしたスライドを作成する
実際に僕が作成したスライドをお見せしようと思ったのですが、個人情報に該当するものがあるので控えたいと思います。
少しでも症例報告をする際の参考になれたら幸いです。
今後も症例報告の経験を積んでいく中で、気づいたことを記事にしていこうと思っているので、読んでいただけると幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。